タバコが歯に与える影響とは?
はじめに、タバコが歯に与える影響について見ていきましょう。
歯にタバコのヤニがつき、黄ばみの原因に
タバコの煙に含まれているヤニは、それ自体が黄ばみの原因になるだけでなく、飲食による着色汚れが付着しやすくする性質をもっています。
なぜなら、タバコのヤニはネバネバした粘着力があるからです。そのため、コーヒーや紅茶、赤ワインなどの飲食物に含まれている色の成分を歯に吸着させ、黄ばみを定着させてしまうのです。
ただし、タバコを吸ってから数時間以内に対処すると、ヤニは歯につきにくくなります。ヤニを歯につきにくくする方法はのちほど詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
細菌が繁殖しやすく歯周病になりやすい
タバコが歯に与える影響は、着色汚れだけではありません。タバコのニコチンによって口内の細菌が繁殖しやすくなり、歯周病になりやすくなってしまう可能性があるのです。
ニコチンには血管を収縮させる働きがあるため、口内の組織に栄養が行き渡りにくくなります。栄養が十分に行き渡らなくなると、免疫力が低下し、細菌が繁殖しやすくなります。
口内で細菌が繁殖すると歯茎の炎症が起こりやすくなるため、歯周病などの病気に繋がりやすくなってしまうのです。
歯茎の色が黒ずんでしまう場合もある
タバコは、歯だけでなく、歯茎の色まで変えてしまう恐れがあります。
タバコに含まれるニコチンの成分によって血液の流れが悪くなったり、タールの成分によってメラニン色素が作り出されたりして、歯茎が黒ずんでしまうのです。
タバコを吸う人が気をつけるべきホワイトニングでの注意点
タバコを吸っている人がホワイトニングを行う際は、効果を弱めないために気を付けるべきことがあります。
ホワイトニング後にタバコは吸ってはいけない
ホワイトニングを行った直後は歯の表面が着色しやすい状態になっているため、タバコを吸ってはいけないといわれています。
またホワイトニングの種類によっては、飲食を制限しているものもあります。飲食物の中にも歯の着色汚れを起こしやすい食材があるからです。
だだし、飲食の制限がないホワイトニングもありますので、実施する前に確認しておくと安心ですね。
ホワイトニング後にタバコを控えるべき期間
ホワイトニングの後にタバコを控えるべき期間は、以下のとおりです。
・歯医者さんでのオフィスホワイトニング:約24時間~48時間
・マウスピースを使用したホームホワイトニング:約6時間
・デュアルホワイトニング:約1時間
タバコを吸っている方にとっては長時間の禁煙になってしまいますが、ホワイトニング効果を高めるためにも推奨されている時間はタバコを控えてみてください。
歯についたヤニ・黄ばみを落とす方法
次は、歯についたヤニや黄ばみを落とす方法を紹介していきます。
セルフホワイトニングで歯のヤニ・黄ばみを落とす方法
セルフホワイトニングは自分で行うホワイトニングで、自宅で行う方法とサロンに通って行う方法があります。
自宅でセルフホワイトニングする
自宅で行うセルフホワイトニングには、以下のような種類があります。
・ホワイトニング用の市販の歯磨き粉
・液剤を使ったマウスウォッシュ
・歯の消しゴム
・歯のマニキュア
歯磨き粉を使ってホワイトニングを行う場合は、ヤニに効果のある「ポリリン酸ナトリウム」「ポリエチレングリコール」「ポリビニルピロリドン」を含んでいる歯磨き粉がおすすめです。さらに超音波歯ブラシを使うと、より効果的ですよ。
また、研磨剤が含まれている歯磨き粉は歯を傷つけてしまう恐れがありますので、歯磨き粉は研磨剤が入っていないものを選びましょう。
サロンでセルフホワイトニングする
サロンで行うセルフホワイトニングは、歯の表面に蓄積した着色汚れを浮かせて落とすため、本来の歯の色に戻す効果があります。
サロンで使用するホワイトニング剤は歯の表面にしか作用しないため、刺激が少なく痛みがないのが特徴です。
歯医者さんで歯のヤニや黄ばみを落とす方法
歯医者さんで歯のヤニや黄ばみを落とす方法は大きくわけて、4つの種類があります。
PMTC
PMTCは、プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングの略です。フッ化化合物などを含んだペーストを使用し、歯の表面を磨きながら汚れを落としていきます。
超音波スケーラー
超音波スケーラーは、超音波の振動によって汚れを浮かせてヤニや歯石を落とす方法です。
ジェットパウダー洗浄
ジェットパウダー洗浄は、細かい塩の粒子を噴射し、歯の表面の汚れを除去します。歯の表面がザラザラになるため、PMTCと一緒に行うのが理想的といわれています。
ホワイトニング
上記に紹介した方法でも汚れが落ちないときは、ホワイトニングを行いましょう。歯医者さんで行うホワイトニングは、オフィスホワイトニングとも呼ばれています。
オフィスホワイトニングは、過酸化水素を使用した薬剤で歯に沈着した色素を分解し、ヤニやそのほかの原因で着色汚れしてしまった歯を白くしていきます。
歯をヤニから守る予防方法とは?
最後に、歯をヤニから守るために、普段の生活の中でできる予防方法を紹介していきます。
こまめに正しい歯磨きをする
歯にヤニがつかないようにするためには、こまめに歯磨きを行うことが効果的です。
起床時、就寝前、昼食後は、優しく丁寧に歯磨きをしましょう。外出先などで歯磨きができない場合は、マウスウォッシュを使ってみてください。
タバコを吸った後に水で口をすすぐ
タバコを吸った後は水で口をすすいで、ヤニが歯にこびり付く前に落としましょう。
タバコのヤニだけでなく、色の強い食べ物や飲み物の色素沈着を防ぐためにも効果的ですので、ぜひやってみてください。
歯を傷つけない
先ほどもお伝えしましたが、研磨剤入りの歯磨き粉は歯を傷つける恐れがあるため、歯磨き粉は研磨剤が入っていないものを選びましょう。
また、歯の消しゴムも歯のエナメル質を傷つける可能性があるので、使用を控えた方が無難です。
喫煙時、ヤニ取り用パイプを使用する
ヤニ取り用パイプには、口内に入ってくるタールを最小限に減らす効果があります。ヤニから歯を守るために、喫煙時はヤニ取り用パイプを使ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
タバコが歯に与える影響と、タバコを吸う人がホワイトニングを行う際の注意点などを紹介してきました。
タバコのヤニやニコチンには、歯の着色汚れだけでなく、歯周病や歯茎の黒ずみの原因となる性質があります。
健康的に歯を白くするためには、日常生活でできる対策が効果的です。ぜひこの記事を参考にして、歯の黄ばみや着色汚れを防いでいきましょう。
【この記事の監修医】
帆保 智子 先生
大手医療法人や個人歯科医院などを含め10年以上、歯科衛生士として従事。一般歯科のほか、インプラント治療や矯正治療、審美治療などの専門性の高い分野に長けている。現在は今までの経験を活かして「誰が読んでもわかりやすい、もっと生活が快適になる歯科記事」を多数執筆中。