「すぐ受診を!虫歯の放置は危険です。」“怖くない歯医者選び”のポイント

冷たいものを飲むと歯がしみることはありませんか?なかなか自分で気づくことのできない虫歯ですが、しみると感じる頃には、かなり症状が進行しまっていることがほとんどです。今回は、そんな「沈黙の虫歯」への対処法について、歯科医の河野恭佑先生にお話を伺います。河野先生は、大学卒業後は勤務医を経て、医療法人社団佑健会の理事長に就任し、2021年エミール矯正歯科、盛岡KT歯科・矯正歯科を開院されています。では早速、虫歯についての私たちの素朴な疑問に答えてもらいましょう!


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虫歯を放置するとどうなる?

インタビュアー:河野先生、今日は宜しくお願いいたします。虫歯についていろいろ聞きたいことがあるのですが、まず、一般的な歯ってどうやって虫歯になっていくんでしょうか?

河野先生:まず虫歯菌は、エナメル質から入って、その後、象牙質、神経の順に溶けていき、浸食が進みます。虫歯の深さが深ければ深いほど、神経に届くので、しみると感じやすくなります。

インタビュアー:しみる頃にはもう進行しているのでしょうか?

河野先生:はい。しみると感じるときは、もうかなり進行してしまっています。ですが、しみると感じるものには2パターンあって、虫歯と、知覚過敏が考えられます。虫歯の場合、しみてから数分後もズキズキ痛みが残ります。知覚過敏の場合は、しみた後すぐ通常に戻ります。

インタビュアー:知覚過敏がしみる原因ってどういうものなのでしょうか。

河野先生:噛み合わせが強いと歯が擦れていってしまって、歯茎から刺激を受けるようになります。皮膚感覚に似ていて、同様の症状でも人によって痛みの感覚は異なります。

インタビュアー:歯周病もしみるんですか?

河野先生:歯周病の場合、冷たいものよりも、温かいものがジワっとしみる傾向にあります。虫歯は初期の頃は冷たいものが痛いと感じますが、もし温かいものがしみる場合、その虫歯は結構進行していて、神経を取らないといけないこともあります。

インタビュアー:温かいものがしみたらかなりひどい状態になっているということですね。虫歯の進行の具合は、人によって様々なのでしょうか。

河野先生:虫歯が一番影響を受けるのは間食です。子供の頃、間食の回数が多いと虫歯になりやすいですね。毎日1日3回歯ブラシするよりも、おやつを食べる回数を減らした方が虫歯予防になります。

インタビュアー:やはり虫歯を訴えて来院する患者さんは、もうすでに痛くなってから来る方ばかりですか?

河野先生:痛くなってから来る方がほとんどで、神経を取るかどうかの段階まで迫っています。虫歯が進んでいてもあまり痛みを感じない人がほとんどなので、定期健診で早目に虫歯を発見するのがベストです。

自分に合った歯医者の選び方とは?

インタビュアー:患者さんとのコミュニケーションで気を付けていることはありますか?

河野先生:歯医者さんって自分に何か症状があったら行くと思いますが、その治療以外のことを提案されることがありませんか?

インタビュアー:確かに、ありますね。

河野先生:納得した上で治療をされるのとそうでないのとでは、先生と患者さんの信頼関係が変わってくると感じます。私の場合は、患者さんからお願いされた治療以外については、ちゃんと説明して頼まれた上で治療するようにしています。

インタビュアー:なるほど、患者さんの意思をとても尊重されているのですね。河野先生に、歯医者さんを選ぶときのポイントを教えていただきたいです。

河野先生:歯科医院のホームページを見てもどんな先生か、どんな治療をしてもらえるのか、全然分からないと思います。なので、「定期的に無理なく通えること」が必須条件と考え、まずはご自身の自宅や職場から通いやすいかどうかを重視しましょう。あとは行ってみないと分からないですね。先生とフィーリングが合わなかったら、その都度初診料がかかってしまいますが、何度でも変えた方がいいでしょう。

インタビュアー:セカンドオピニオンについてはどう思いますか?

河野先生:私は、個人的にセカンドオピニオンをおすすめします。そもそも、法律で開示義務があるので、迷わずカルテや情報はお出しします。実際のところ忙しくてなかなか時間が確保できず、セカンドオピニオンをしない人の方が多いと思いますが、時間が許す限り積極的に活用すべきだと考えています。

インタビュアー:セカンドオピニオンはどういう治療のときに依頼されますか?

河野先生:高額治療の歯並び矯正やインプラントの治療で、料金面でのセカンドオピニオンが求められることが多いです。自費診療は、それぞれの歯科医院が自由に値段を決められます。同じ矯正の治療でも、70万のところもあれば100万のところもあります。

インタビュアー:虫歯の場合、セカンドオピニオンはないのでしょうか?

河野先生:虫歯の場合、保険の範囲内でできる治療が決まっていて、それ以上のクオリティを求める場合は自費診療になります。本当に良い治療を受けたい場合、自由診療を受けた方がいいでしょう。

インタビュアー:患者さんが初診で来たとき、先生にとってはどんな情報が必要になりますか?

河野先生:あればあるほど、有難いです。虫歯の場合だと、いつできたのか、いつ頃から気になるようになったのか、何をきっかけに痛くなったのか、生活サイクルはどんな感じなのかなど、私のクリニックでは、問診票とカウンセリングで細かく聞いています。

虫歯にすぐ気付くには?

インタビュアー:虫歯がしみ始める前に、自分で発見できないものなのでしょうか。

河野先生:ほとんど不可能ですね。なぜなら、歯ブラシの形状上、届く範囲に限界があり、毎日歯磨きを行っていても必ず磨き残してしまうからです。体のどこかにガンなどの病気があったときに自分で発見できないのと同じです。問題が見つかった場合はもうすでに手遅れということがあるように、虫歯にもそういうことが起こります。なので、症状がないときでも予防のために医院に行くのが、結局、一番安上がりなんですよ。

インタビュアー:本当におっしゃる通りだと感じます。先生は、この人って将来虫歯になりそうだなというのが分かるのですか?

河野先生:夜勤が多い方、生活のリズムが不規則な方はなりやすい傾向があります。虫歯になりやすいタイプ、歯周病になりやすいタイプというのがあって、だいたい初診のときのレントゲンで分かります。最近では、唾液検査でも判定できます。

インタビュアー:最後に、先生のおすすめの歯のケアについて教えてください。

河野先生:歯ブラシ、フロスの後に、歯間ブラシをおすすめしています。歯間ブラシはフロスと違って、歯と歯の間の歯茎に残った歯垢を除去できるだけでなく、歯茎のマッサージとしても有効です。歯間ブラシは1日1回で十分です。ただ、あまりにも自分に合っていないサイズのものを無理して使うと、歯茎を傷つけることもあるので、自分に合ったサイズを選びましょう。

さいごに

河野先生による虫歯についてのお話しはいかがでしたか?虫歯を予防・早期発見するには、定期的に歯科医院に通うことが重要です。痛くないからと放置していると、あなたの気付かないうちに虫歯が進行しているかもしれません。お口の健康を維持するため、自分に合った歯医者さんを探して、定期的に診てもらいましょう!